ママ自転車

 自動車免許を習得し早十数年の私には、自転車なんて、もう乗る必要がない乗り物でした。が、そんな私の価値観を180度変えたのが、東日本大震災でした。ガソリンが手に入りにくくなり、ガソリンスタンドには長蛇の列。そこに私も数回並びましたが、すぐに売り切れ、なかなか給油ができませんでした。ある時、並んだのに給油できずそのまま帰るのがあまりに悔しくて、ホームセンターに向かいました。そして、そこに売っていた一番安い自転車を購入しました。


 次の日から、私と自転車の格闘が始まりました。まともに自転車に乗るのなんて数十年ぶりです。私はヨロヨロしながら職場へたどり着きました。帰りもまた同様です。そんな私の自転車との格闘の姿は、震災で疲れた職場に大笑いの花を咲かせました。ちょっと複雑な気持ちでした。先日、息子の誕生日に新しい自転車を買ってあげました。私の通勤の苦労を知らない息子は、お母さんと一緒に自転車で走りたいといってくれました。まだちょっと操作に自信が持てないけれど、今は自転車は身近な親子のコミュニケーションアイテムとなっています。